「つくる責任」と向き合う現場。光・彩山梨工場のリアルなサステナビリティ

【ジュエリー製造業におけるSDGs実践】私たち山梨工場の取り組み
【1. SDGs対応:理念から実行へ】
私たちは、企業のCSR活動の域を超え、経営そのものにSDGsを組み込んでいます。
■ 再生可能エネルギーへの全面転換
山梨工場では2020年9月から、使用電力をすべて再生可能エネルギーに切り替えました。全館1,279灯におよぶ照明のLEDも行い、クリーンな製造環境が実現されています。これらはJ-クレジット制度にも登録され、第三者的な評価・取引が可能な「環境価値」として証明されています。
■ 有害物質の排除と健康リスクの低減
製品に用いる金属地金からは、鉛、水銀、カドミウム、ニッケルなどの有害6元素を排除。アレルギーに配慮した素材選びと工程管理が徹底されています。また、製造現場においても換気装置や中性洗剤の使用など、従業員の安全衛生にも万全を期しています。
■ 再利用とリメイクの推進
光・彩では、加工する地金の8割以上に、貴金属屑を再利用したリサイクル地金を使用しております。また、リサイクル地金のみを用いた製品加工にも積極的に取り組み、環境負荷をさらに低減し、持続可能な資源活用の実現を目指しております。さらに、既存ジュエリーの再デザインを行う「パーソナルリメイク」サービスを提供し、過剰な採掘や素材消費を抑制。個人の想い出を生かすことで、経済価値と情緒的価値の両立を実現しています。
■ 生産性と業務効率の両立
RPA(業務自動化)を導入し、ルーティンワークを機械に任せ、人間は創造的・判断的な業務に集中できる体制を確立。業務効率化と働きがいのある職場づくりを両立しています。
【2. RJC認証:国際基準に適合した責任ある企業活動】
私たちは、責任ある鉱物調達・倫理的製造・環境管理・労働基準などを包括する国際的な認証「RJC(Responsible Jewellery Council)」を取得済みです。認証を維持するために、以下のような社内体制と仕組みを整えています。
- RMI(責任ある鉱物イニシアチブ)認証済みのサプライヤーからのみ素材を調達
- 外部監査と内部監査を毎年実施し、リスクアセスメントを文書化
- 倫理・人権・環境・労働安全に関する教育研修を年2回以上実施
- サプライチェーン全体でのトレーサビリティを担保し、調達・製造・出荷までの記録を一元管理
これらの活動は、単に制度遵守のためだけでなく、企業の信頼価値を高め、パートナー企業や消費者からの継続的な支持につながっています。
【3. 安心して働ける職場環境】
私たちが企業として長く選ばれているもう一つの理由は、社員が長く働ける職場づくりに本気で取り組んでいることです。働きやすさと働きがい、双方の実現に向けた制度整備がなされています。
■ 働き方の柔軟性
公式HPにも掲載されている通り、在宅勤務制度、パート社員からの正社員登用制度など、社員のライフステージに応じた働き方が可能です。育児・介護と両立する女性社員も多く、産休・育休制度からの復職支援も整っています。
■ 安全・衛生の取り組み
作業エリアには温湿度自動制御装置や局所排気装置を導入。溶剤も人体や環境に優しい中性洗剤へと転換されており、物理的・化学的リスクを最小化する職場環境が保たれています。月1回の安全ミーティングやマニュアル見直しも定例で実施されています。
■ 教育とキャリア支援
国家資格(技能士、検査士など)取得のための研修費補助や、社内勉強会、eラーニング制度も整備。経験年数や性別を問わず、技術職・管理職双方にキャリアの道が用意されています。
【4. 社会とのつながりと企業市民としての役割】
同社は事業活動だけでなく、地域社会との関係構築にも注力しています。
- 地元中学・高校との連携による工場見学受け入れ
- ピンクリボンキャンペーンへの寄付や地域ボランティア活動
- 障がい者就労支援施設との部品加工連携
- 高齢者の継続雇用制度(再雇用上限年齢の延長)
こうした取り組みは、地域経済への貢献とともに、社員の誇りや働きがいにもつながっています。
【5. 光・彩の取り組みがもたらす社会的・経済的インパクト】
同社のSDGs対応や労働環境整備、環境配慮の取り組みは、単なる「内部改革」にとどまりません。現在の消費者は、製品そのものの品質に加えて「どのような企業姿勢で製造されているか」を重視する傾向が強く、特にZ世代やミレニアル世代の購買行動に大きな影響を与えています。
私たちのような透明性の高いモノづくりを行う企業は、エシカル消費志向のユーザーやサステナビリティに敏感なブランドから高く評価され、結果的に経済的な優位性を得ることにもつながります。こうした取引先との信頼関係の強化、ブランド価値の向上は、持続可能な企業成長に直結するのです。
■外部評価と持続可能なモノづくりへの社会的信頼
私たちの取り組みは、社内にとどまらず、外部からも評価されています。たとえば、環境省が主導する「J-クレジット制度」への登録は、CO₂排出削減の取り組みを証明する具体的な成果として認定されています。
また、2020年から山梨工場の電力を100%再生可能エネルギーに切り替えたことにより、製造工程における環境負荷を大幅に削減。廃材や金属の再資源化、製造時の環境配慮型化学品の使用など、全社的な方針に基づいた持続可能なモノづくりが実現されています。
私たちは、こうした継続的な取り組みを通じて、環境・人・社会との共生を追求し、今後も責任ある企業としての信頼を積み重ねてまいります。
【6. 柔軟な働き方を支える制度の整備】
私たちは、一人ひとりのライフスタイルに応じた柔軟な働き方を支援するために、様々な制度を整えています。特に、子育てや介護、自己啓発など、多様な事情を抱える社員が安心して長く働ける環境づくりを進めてきました。
■ 在宅勤務制度の導入
必要に応じて、在宅勤務制度を活用できるようにしています。業務内容に応じた対応が可能で、家庭との両立を図るための仕組みとして浸透しています。業務用PCの貸与やセキュリティ対策を含めたインフラ整備も行い、生産性と安全性の両立を実現しています。
■ 短時間正社員制度と正社員登用
時短勤務を希望する社員に対しては、短時間正社員制度を適用しています。この制度を利用することで、フルタイムが難しい場合でも安定した雇用形態で働くことができ、継続的なキャリア形成を支援します。また、パート・アルバイトから正社員への登用実績もあり、意欲と成果を評価する公平な人事制度を整えています。
【7. 人材育成と自己実現の支援】
私たちは、人材こそが企業の最大の資産であると考えています。そのため、社員の成長を支援するための教育研修制度を体系的に整えています。
■ 資格取得支援
ジュエリー検査士や技能士など、業務に直結する国家資格や専門資格の取得に向けて、教材費や受験費用の補助を実施。さらに、資格取得者には評価制度上の加点や昇給基準にも反映させ、努力がしっかり報われる環境づくりを行っています。
■ 社内研修とeラーニング
職種ごとの技術研修や、管理職向けのリーダー研修、ビジネススキル向上を目的としたeラーニングコンテンツも随時提供。新入社員からベテラン社員まで、学び続ける風土が醸成されています。
■ キャリアの多様性を広げるジョブローテーション
長期的なキャリア形成の一環として、社内異動制度やジョブローテーションも実施。異なる部署や工程を経験することで、自らの適性や可能性を発見し、幅広い視野を育てることができます。
【8. コンプライアンスと企業ガバナンス】
企業としての持続的成長には、法令遵守と倫理的経営の実践が不可欠です。私たちは、「企業行動規範」を策定し、全社員に対して継続的な教育と啓発を行っています。
■ 内部監査とリスク管理体制
コンプライアンス違反の未然防止を目的として、年次の内部監査を実施しています。監査結果は経営層と共有され、必要な是正措置を速やかに実行。社員からの内部通報制度(ホットライン)も設けられており、匿名性を保ちながら安心して声を上げることができます。
■ 倫理研修と情報共有
新入社員研修に加え、定期的な倫理研修を通じて、個人情報保護、環境配慮、差別禁止などの重要事項を全社員が理解し実践できる体制を築いています。また、社内報やイントラネットを通じて、ガバナンスに関する最新情報の共有も行っています。
【9. 持続可能な調達とサプライヤー連携】
私たちが目指すサステナブルな製造は、社内の努力だけで成り立つものではありません。取引先や素材供給元との連携も、私たちの理念を共有するうえで欠かせない要素です。
■ 責任ある素材調達
私たちは、RMI(責任ある鉱物イニシアチブ)準拠のサプライヤーとのみ契約し、調達素材のトレーサビリティ(追跡可能性)を確保しています。コンフリクト・フリー(紛争に関与しない)な素材調達は、企業の社会的責任として重視しています。
■ 協力工場との情報共有
協力工場に対しても、環境基準や労働安全に関するガイドラインを明確に伝え、定期的に進捗を共有。品質面のみならず、倫理的観点からも信頼できるパートナーシップを築いています。
【10. サステナブルな未来に向けて】
私たちは「ジュエリーの価値とは何か」を日々問い直しながら、ものづくりの未来に向き合っています。ただ単に美しい製品をつくるのではなく、環境・社会・人すべてに誠実でありたい――それが私たちのサステナビリティの原点です。
山梨という自然豊かな地域に根ざした私たちの工場では、地域資源や環境への配慮を大切にしながら製造工程を見直してきました。例えば、廃材や端材を最小限に抑える生産設計、金属の微細なロスを抑える研磨・精錬技術、作業時の排水や廃液の管理強化など、目立たないけれど本質的な工程改善を積み重ねています。
また、「作る」側だけでなく「使う」側とも真摯に向き合う姿勢も私たちの特徴です。お客様がジュエリーを長く、安心して使い続けられるように、修理・再加工サービスの拡充や、地金を再活用したリフォームの提案にも力を入れています。こうした取り組みは「一度買ったら終わり」ではなく、モノを大切に使い続ける文化を支える役割を果たしています。
さらに、環境配慮や企業倫理に関心を持つブランドや企業との連携も進めており、持続可能なものづくりの輪が社外にも広がりつつあります。その関係性は、単なるビジネスパートナーというよりも、理念を共有する仲間としてのつながりへと変わりつつあります。
サステナビリティとは、完成された理想ではなく、毎日の選択と行動の積み重ねです。私たちはこれからも、気候・資源・人権といったさまざまな課題と真摯に向き合いながら、小さくても確かな前進を重ねていきます。
【補足. 用語解説】
・SDGs:国連が提唱する「持続可能な開発目標」。貧困、教育、環境問題など17分野で世界的な目標を設定している。
・RJC:Responsible Jewellery Council。倫理的・環境的な基準に基づくジュエリー製造を評価・認証する国際機関。
・RMI:責任ある鉱物調達を推進する国際的枠組み。RJC認証の調達基準として用いられる。
・RE100:再生可能エネルギー100%の電力利用を目指す企業連合。私たちはこの理念に準拠。
・RPA:Robotic Process Automation。業務プロセスを自動化し、効率化と人間の創造的作業の強化を支援する技術。
・J-クレジット制度:省エネや森林保全等で削減したCO₂排出量を「見える化」し、企業間取引可能とする日本独自の制度。